河村直哉の時事論

左傾の残滓 ひきずる日本学術会議問題

衆院予算委員会で立憲民主党の枝野幸男代表の質問に答える菅義偉首相(右)=4日、衆院第1委員室
衆院予算委員会で立憲民主党の枝野幸男代表の質問に答える菅義偉首相(右)=4日、衆院第1委員室

 「およそ良心をもって民主主義と平和とをまもろうとするものは、日本帝国主義によって、共産主義者として迫害されたのであった」。歴史家、羽仁五郎の著書「日本人民の歴史」(昭和25年)から。羽仁は日本学術会議の、同24年発足時の会員の一人だった。

入り込んだ共産思想

 共産思想が濃厚に出た本である。「今日まだ残存している日本の半封建的独占金融資本主義はいまでもまだ共産主義を最大の敵としてこれに対するたたかいに日本および国際世界をかりたて、そのあいだに、ふたたびファシズムと侵略戦争とを復活させようとしている」。このような語法や見方は共産思想に特徴的なものといってよい。

 もう一人、マルクス経済学者、大内兵衛の「社会主義はどういう現実か」(同31年)という本を見よう。ここでの社会主義は共産主義と同義であると考えてよい。大内も学術会議発足時の会員の一人だった。

 大内は同26年に岩波文庫として刊行されたマルクスとエンゲルスの「共産党宣言」の訳者の一人でもある。同30年の学術会議による旧ソ連と中国への学術視察に加わった。先の本はその記録である。