菅政権考

首相は「静かなトランプ」のままでいられるか 

トランプ米大統領との電話会談を終え、取材に応じる菅義偉首相=9月20日、首相公邸(萩原悠久人撮影)
トランプ米大統領との電話会談を終え、取材に応じる菅義偉首相=9月20日、首相公邸(萩原悠久人撮影)

 歴代首相にはニックネームで記憶される人が多い。戦前では鋭い眼光から「ライオン宰相」と名付けられた浜口雄幸氏、自分を「おら」と呼ぶので「おらが宰相」と親しまれた田中義一氏が思い浮かぶ。戦後では独善的な政権運営で批判された吉田茂氏が「ワンマン宰相」、権力を握るため昨日の敵とも手を結ぶ中曽根康弘氏が「風見鶏」と呼ばれた。人知の及ばぬ言動を繰り返すため「宇宙人」とさげすまれた人もいた。

 今のところ、菅義偉(すが・よしひで)首相には定着したニックネームがない。いつの間にか「令和おじさん」という呼び名はあまり聞かれなくなった。官房長官時代に出版された評伝は「総理の影」や「影の権力者」と題されたが、首相になったので、もはや「影」ではない。

 首相は自身を「たたき上げ」と呼ぶことが多い。秋田県の農家出身で政治家秘書から首相に上り詰めた経歴を語り、庶民感覚を売りにする。ただ、お気に入りの呼び名は「たたき上げ」だけではないようだ。出所は不明だが、首相を「静かなトランプ」と呼ぶ声もあり、それを伝え聞いて「わかってるじゃねえか」と周囲に語ったという。