論点直言

「都構想再び否決」が残したもの

(左から)善教将大・関西学院大准教授、岸博幸・慶応大大学院教授、砂原庸介・神戸大教授
(左から)善教将大・関西学院大准教授、岸博幸・慶応大大学院教授、砂原庸介・神戸大教授

 11月1日に投開票された大阪都構想の是非を問う2度目の住民投票は、約1万7千票差で否決された。平成27年の前回に続き、その差は僅かだ。勝敗を分けたのは何だったのか。看板政策を失った大阪維新の会はどうなるのか。地方自治などに詳しい有識者らに聞いた。

■「首相主導で地方分権議論を」慶応大大学院教授 岸博幸氏

 大阪都構想の住民投票が再び反対多数となり否決された結果は市民の判断であり、当然受け入れるべきだ。しかし、人口約270万人の大阪市が世界規模の都市間競争に勝ち抜く都市経営と、少子高齢化が加速するなかでの住民サービスの拡充という双方を1人の首長が担うのは無理がある。都構想は広域行政と基礎自治の役割を大阪府と特別区で分担するもので、可決されれば画期的な試みになるはずだった。2度にわたる否決は、大阪だけでなく日本にとっても痛手。率直に言って残念だ。