河村直哉の時事論

混迷する米大統領選 日本の自立考える機会にせよ

11月7日、米デラウェア州ウィルミントンで勝利宣言する民主党のバイデン前副大統領(AP)
11月7日、米デラウェア州ウィルミントンで勝利宣言する民主党のバイデン前副大統領(AP)

 十数年前、平成18年ごろのことになる。いまは亡き評論家の故・西部邁氏と食事しながら、こんなことを問うた。「反米といっても、日本はアメリカと付き合っていかざるを得ない。どうお付き合いしますか」

西部邁氏の保守論

 2001(平成13)年の米中枢同時テロ、2003年からのイラク戦争と、日本はアメリカを支持する政策を次々と打ち出した。そのころ、日本の論壇では米国との関係を重視するいわゆる親米保守と、それに異を唱える反米保守の対立が生じていた。西部氏は後者の中心的な存在で、親米保守を厳しく批判していた。

 西部氏の舌鋒(ぜっぽう)の鋭さはよく知られていた。怒鳴られるのも覚悟して聞いた質問だったが、答えは意外とあっさりしていて、記憶に残っている。

 「アメリカとくらいいくらでもうまく付き合ってやるよ」

 筆者なりに解釈して簡単にいえば、アメリカに唯々諾々(いいだくだく)となるのではなく独立した日本人として考え、そのうえでアメリカと付き合うべし、ということである。西部氏の著書から同様の言葉を拾ってみる。

 「日本人として、あるときは親しくしなきゃいけないし、あるときは距離を置かなきゃいけないだけのことで、親米か反米かなんて言っていること自体がとんちきだなと思います」