自衛隊レーダー基地の喉元に迫る中国資本 北海道・稚内ルポ

中国系資本関連とみられる企業に買収された土地の付近に建設された別の企業による風力発電設備。写真右の山上には自衛隊分屯地のレーダーサイトが見える=2日、北海道稚内市(市岡豊大撮影)
中国系資本関連とみられる企業に買収された土地の付近に建設された別の企業による風力発電設備。写真右の山上には自衛隊分屯地のレーダーサイトが見える=2日、北海道稚内市(市岡豊大撮影)

 政府は外国資本による安全保障上重要な土地の買収について実態調査を可能にする法整備を進めている。並行して取り組むのが具体的事例の検証だ。9日に開かれた政府有識者会議の初会合では、各地方議会などで問題視された事例が報告された。

 北海道千歳市議会では平成26年6月、航空自衛隊千歳基地から約3キロの隣接地約8ヘクタールが中国資本に買収されたことが質問で出た。台湾と接する沖縄県竹富町議会では28年9月、中国系資本が宅地約2・4ヘクタールを買収しようとし、これを防ぐため町による土地購入が検討された。

 こうした事例は中国資本が表に出ているため、ある意味動きをつかみやすい。だが、中国資本の関与が疑われても実態が明らかにならない事例もある。

レーダーサイトまでわずか約1キロ

 ヒュン、ヒュン、ヒュン…。日本海を吹き渡る風を受け、風力発電の風車が風を切る音が響く。国内最北部に位置する北海道稚内市の野寒布(のしゃっぷ)岬。背後の高台にはロシア国境に目を光らせる自衛隊分屯地のレーダーサイトが見える。周辺の土地は数年前、風力発電業者らがわれ先にと買いあさった。中でも基地関係者が「分屯地の喉元(のどもと)」と表現する近接地を、中国系資本が関与するとみられる事業者が買収していた。誰が何のために買収したのか。

 野寒布岬周辺の道路を車で走り、再生可能エネルギー事業計画が8件届けられた場所にたどり着いた。現在は営業していないラブホテルが建つ計画地は草が生い茂り、実際に稼働している様子はない。