菅義偉(すが・よしひで)首相が横浜市議から国政に転じたのはつとに有名だ。その菅政権を支える自民党の二階俊博幹事長と森山裕国対委員長の2人もそれぞれ和歌山県議、鹿児島市議を務め、地方議員から政治経験を積み上げた。親から地盤を継ぐ世襲議員も多い中で、菅政権樹立に動いたこの3人がいずれも地方議員出身というのは興味深い。
「国会議員要覧」を発行する国政情報センターによると、衆参両院議員の地方議員出身者は、都道府県議158人、市区町村議79人に上る。都道府県議や市区町村議の重複もあるが、中央省庁出身者の111人を軽くしのぐ。
だが、その地方議員も今やなり手不足が深刻化している。特に小規模な町議会、村議会で著しい。その背景には、会社員や公務員が地方議員に「転職」するのを踏みとどまらせる金銭的な要因があるという。それは給料(議員報酬)と年金だ。
議員のなり手不足は、過疎化や高齢化で村議の定数確保が難しくなった高知県大川村(10月末人口380人)が村議会を廃止し、有権者が予算などの議案を直接審議する「村総会」の設置を検討したことをきっかけに、目が向けられるようになった。
大川村は議員のなり手不足の象徴となったが、人口減少や人手不足は全国的な潮流であり、議員のなり手不足も例外ではない。