一筆多論

中国外相来日、言うべきことを言わないのは誤りだ 沢辺隆雄

会談に臨む中国の王毅国務委員兼外相(左)と茂木外相 =11月24日午後5時31分、東京都港区の飯倉公館(代表撮影)
会談に臨む中国の王毅国務委員兼外相(左)と茂木外相 =11月24日午後5時31分、東京都港区の飯倉公館(代表撮影)

 流行語を遅れて使いたがるのは、昭和なおじさんの性(さが)なのでお許し願いたい。アニメ映画が大ヒットしている「鬼滅の刃(やいば)」にあやかって、先日の主張(社説)で「心の中に棲(す)む『鬼』を断て」といじめ問題について取り上げた。部内の一部には「心の中に鬼なんているか」と眉をひそめる向きもあったが、少なからぬ賛同を得た。誰の心にも鬼が入り込むことはあると思う。いじめを許さない、見過ごさない、勇気や思いやりを教えることは大切だ。

 翻っていま、情報発信を含め、国を守ることに全集中で取り組みたい。

 外交交渉には胆力がいるとよく聞く。何事にも臆さず、圧力に屈せず国益を守る気概が欠かせない。「鬼滅の刃」の言葉を拝借すれば「全集中の呼吸」で。

 それがなされているか、心もとない場面が少なくない。先週も日中外相会談後の共同記者発表で、中国の王毅国務委員兼外相から、沖縄県の尖閣諸島をめぐり、あきれた発言があったのはご存じの通りだ。

 王外相は「1つの事実を紹介したい」と切り出し、日本の漁船を正体不明とし、尖閣諸島の周辺水域に入ってくるので、中国はやむを得ず非常的な反応をしなければならない-などと一方的な主張を繰り広げたのに唖然(あぜん)とした。尖閣諸島は歴史的にも国際法上も日本の固有の領土であるのに、事実をひっくり返し責任を転嫁する。「敏感な水域で事態を複雑化させる行動を回避すべきだ」と言うが、悪いのは中国の方だ。