防衛最前線

海自に変革もたらす新型護衛艦「くまの」 クルー制導入 中国海軍の戦力増強に危機感も

進水した海上自衛隊の新型護衛艦「くまの」=11月19日午後、岡山県玉野市(彦野公太朗撮影)
進水した海上自衛隊の新型護衛艦「くまの」=11月19日午後、岡山県玉野市(彦野公太朗撮影)

 「ガン!」

 11月19日、岡山県玉野市にある三井E&S造船玉野艦船工場で行われた海上自衛隊の新型護衛艦「くまの」の命名・進水式で、防衛省の島田和久事務次官が船を陸上につなぎとめておく「支綱(しこう)」を斧(おの)で切断する音が響き渡ると、くまのは「行進曲軍艦(軍艦マーチ)」の演奏と大きな拍手に送られ、瀬戸内海にゆっくりと進水していった。

 防衛省幹部は新型護衛艦について「海自に大きな変革をもたらす船だ」と期待を寄せる。

 艦種記号は「FFM」。「F」は艦種の一つであるフリゲートを意味し、「DD(デストロイヤー)」と区分された従来の護衛艦よりコンパクトだ。基準排水量3900トンは最新イージス艦「まや」(8200トン)の半分以下で、小型化が図られたことがわかる。

 「M」はMultipurpose(多用途)とMine(機雷)の頭文字で、従来の護衛艦にはなかった対機雷戦能力が付与された。

 小型化と船内の自動化により実現したのが、FFMのもう一つの特徴となる省人化だ。乗員は約90人で、イージス艦の約300人と比べると3分の1以下、汎用(はんよう)護衛艦の約200人と比べても2分の1以下となっている。