防衛最前線

F4戦闘機「ファントム」退役 50年前の導入時は強い反発 歴史は繰り返すのか

航空自衛隊浜松基地に着陸するF4戦闘機=1日午前、静岡県浜松市(植村光貴撮影)
航空自衛隊浜松基地に着陸するF4戦闘機=1日午前、静岡県浜松市(植村光貴撮影)

 「キュイーーン」

 1日午前、雲一つない青空が広がった航空自衛隊浜松基地(静岡県)の上空から、F4戦闘機が耳をつんざくような爆音を立てながら滑走路に滑り込むと、後部から伸びたパラシュートが広がり、徐々にその速度を落としていった。同機は今年度末で退役するF4のうち、世界で最後に製造された440号機(愛称「シシマル」)で、着陸後は浜松基地の放水車が描く水のアーチで駐機場に迎えられ、ラストフライトを終えた。

 F4を運用してきた第301飛行隊の隊長で、シシマルを百里基地(茨城県)から操縦してきた岩木三四郎2佐は記者団に「F4は操縦が難しいが、やりがいがあり、パイロットとしての技量が試される飛行機だった。『ありがとう。お疲れさま』と言いたい」と思いを語った。

 空自がF4を導入したのは昭和47年で、自衛隊が運用する現役の戦闘機としては最も古い。米国がベトナム戦争で投入したことで知られ、亡霊や幽霊を意味する「ファントム」の異名を持つ。

 米国のマクドネル・ダグラス社(現ボーイング社)製で、西側諸国が導入した機体も含めると、5000機超が量産された。シシマルはその世界最終製造機にあたる。