外交安保取材

30年後に誇れる対中外交を

外務省が一般公開した外交文書。1989年6月4日の天安門事件に関する文書が含まれている
外務省が一般公開した外交文書。1989年6月4日の天安門事件に関する文書が含まれている

 1989年6月4日の天安門事件に関する外交文書が公開され、日本政府が中国に対し融和的な姿勢を終始貫いていた事実が明らかになった。誤りであったことは現在の中国の姿が雄弁に語っている。翻って、今の政府は30年後に誇れる対中外交を展開しているだろうか。

 「メリークリスマスでございます」

 昨年12月25日、自民党外交部会の会合に出席した鈴木隼人外務政務官はこうあいさつした。普段なら気にも留めない言葉だが、この日の会合の議題は同23日に発生した中国公船による尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域への領海侵入や、同22日の中露両軍による日本海上空での共同飛行などだった。

 鈴木氏の直前には佐藤正久外交部会長が「防衛や外交に年末年始はない。中国の『慣らし戦略』に慣らされてはいけない」と強調していただけに、緊張感の欠如が際立った。出席議員からは「全然メリーじゃない」との苦言も呈された。

 鈴木氏の発言を報じたのは産経新聞だけだったが、インターネット上に寄せられた反応の中には「揚げ足とり」という趣旨の意見もあった。たしかに取るに足らない話かもしれない。記者自身、報じるべきか迷ったのも事実だ。それでも外務政務官は大臣、副大臣に次ぐ外務省ナンバー3の要職だ。小さな油断やほころびの積み重ねが、対中外交を誤らせる可能性もある。