外交安保取材

朝日新聞を読んで考える敵基地攻撃能力と抑止

射程延伸が決まった陸上自衛隊の12式地対艦誘導弾(陸自ホームページより)
射程延伸が決まった陸上自衛隊の12式地対艦誘導弾(陸自ホームページより)

 私が浅はかな人間であることはうすうす感じていたが、昨年12月19日付の朝日新聞を読み、やはりそうかもしれないと反省した。

 その日、朝日は「ミサイル防衛 『負の遺産』引き継ぐな」という見出しの社説を掲載した。この前日、政府は12式地対艦誘導弾の射程を大幅に延長することを閣議決定していた。この巡航ミサイルについて、朝日の社説はこう批判している。

 「専守防衛の枠内といいながら、その原則をなし崩しに空洞化するような装備の導入を進めている。意図をあいまいにしたまま、兵器の能力だけを強化していく手法は、周辺国の誤解を招き、地域の不安定化や軍拡競争につながる懸念がある」

 長射程巡航ミサイルについて、政府は島嶼(とうしょ)防衛用に導入すると説明している。だが、射程900キロに及ぶとされており、いくら防衛用といっても中国や北朝鮮の本土を攻撃する兵器だと「誤解」されかねないというわけだ。

 とはいえ、政府は12式地対艦誘導弾の延伸を決定した閣議決定で、敵基地攻撃能力をめぐる検討を無期限延期することも決めている。これでは能力を持っていても、敵基地を攻撃することはできない。

 政府が敵基地攻撃を否定している以上、自衛隊は敵基地攻撃の計画を作ることができないし、訓練をすることもできない。米軍との間でどのような役割分担をするか協議することもできない。