外交安保取材

軍艦島 元島民の証言を軽んじるメディア 生み出される「加害者」と「被害者」

産業遺産情報センターに展示された軍艦島の元島民らのパネル写真=東京都新宿区(同センター提供)
産業遺産情報センターに展示された軍艦島の元島民らのパネル写真=東京都新宿区(同センター提供)

 長崎市の端島(はしま)炭坑(通称・軍艦島)などの近代化の歴史を伝える「産業遺産情報センター」(東京都新宿区)に対し、批判的な報道が相次いでいる。朝鮮人労働者は戦時中に虐待されていたとする韓国側の主張とは異なり、元島民らの「出身地による差別はなかった」とする証言を紹介しているためだ。そして、その取材手法は軍艦島を「負の遺産」と決めつける韓国側の主張に傾きがちで冷静さを失い、当時を知る元島民の証言を軽んじている。

 「炭鉱労働者を逆さに宙づりしている絵もある。あれは『パワハラ』や『いじめ』『体罰』と表現されるような行為なのか」

 昨年12月中旬。同センターを訪ねた国内のあるメディアの記者は筑豊の炭鉱画家、山本作兵衛が軍艦島の隣島にあった高島炭坑で行われたという「リンチ」を描いた絵を挙げ、ガイドを務める元島民らにこう詰め寄ったという。この記者は、炭鉱を脱走しようとした朝鮮半島出身者は日常的に拷問にかけられていたと主張したかったとみられる。