外交安保取材

北方領土返還 下がる熱量 首相の路線継承に限界も

北方領土返還要求全国大会でビデオメッセージであいさつする菅義偉首相=7日、東京都渋谷区(萩原悠久人撮影)
北方領土返還要求全国大会でビデオメッセージであいさつする菅義偉首相=7日、東京都渋谷区(萩原悠久人撮影)

 ロシアとの北方領土交渉に漂流の兆しが見え始めている。安倍晋三前首相は歯舞(はぼまい)・色丹(しこたん)の2島返還をうたった昭和31(1956)年の日ソ共同宣言に基づいて交渉を前進させようとしたが、路線継承を掲げた菅義偉(すが・よしひで)首相からは安倍氏のような熱意は伝わってこない。新型コロナウイルスの影響で対面外交が途絶えていることや、反プーチン政権の機運の高まりなどロシアの政治状況も交渉停滞に拍車をかけている。

 「対面外交が動き出したら、ロシアとの首脳会談もしっかりやっていきたい」。首相は22日、官邸で日本維新の会の鈴木宗男参院議員と面会した際、プーチン大統領との会談に改めて意欲を見せた。

 首相は就任直後の昨年9月、プーチン氏と初の電話会談を行った。10月には茂木敏充外相とラブロフ外相も電話で会談したが、その後は途絶えたままだ。

 外務省幹部は「意図的に会談をしていないわけではない。必要に応じてやっていく」と強調する。領土交渉は「首脳が電話ではなく直接会って話すことが欠かせない」(幹部)が、新型コロナの感染拡大で対面外交が難しいことが影響しているという。

■15年ぶりの“欠席”

 一方で、首相から膠着(こうちゃく)状態打開に向けた意欲を感じにくいのも事実だ。