米中対立激化を前に…理にかなった改憲を  三浦瑠麗

国際政治学者の三浦瑠麗氏(原田史郎撮影)
国際政治学者の三浦瑠麗氏(原田史郎撮影)

 日本は有事というものを想定していない国である。このことは、戦後繰り返し指摘されてきたが、すべての国民がそれをまざまざと実感したのがコロナ禍であったろう。東日本大震災の時にも政府の危機管理能力が問われたが、国の命運を左右すると思われたのは初めの数日から数週間であり、被災もわが国全土に及ぶものではなかった。しかし、コロナ禍は発生から1年を経てなお、政府が医療体制の組み換えにもワクチン接種体制の整備にも対応できていない現状を露わにしている。

ホワイトハウスで日米首脳会談に臨んだ菅義偉首相(左)とバイデン米大統領=4月16日、米ワシントン(AP)
ホワイトハウスで日米首脳会談に臨んだ菅義偉首相(左)とバイデン米大統領=4月16日、米ワシントン(AP)

 私権制限の必要の可能性を論じることに今まで消極的であった野党が積極姿勢に転じてもなお、この国は医療体制やワクチン確保に指導力を発揮できず、「手を付けやすいところ」に負担を強いる構図から脱却できていない。首長たちも、世論が求める果断な決断のイメージに寄り添うだけで、漠然とした恐怖に基づくポピュリズムに流されている点では、民主主義の一番悪いところを曝け出しているともいえる。これまで、日本が自由と安全の両立の議論を避けてきたばかりに、主観的な安心のために自由を放棄する羽目に陥っているのではないか。病院のコロナ患者受け入れに関しては、政府や首長に明確な指揮権がないが故に資源配分を適正化できず、国民に自粛を立て続けに要請するに至っている。