論点直言 デジタル教科書

教科書は紙かデジタルか、それとも併用か アンデシュ・ハンセン/新井紀子/関口修司

(左から)関口修司、アンデシュ・ハンセン、新井紀子の3氏
(左から)関口修司、アンデシュ・ハンセン、新井紀子の3氏

 紙の教科書の内容をタブレットなどの情報端末で閲覧するデジタル教科書。政府は、令和6年度からの本格導入を目指し、今年度から全国の小学5年~中学3年の半数程度を対象とした大規模な実証事業を行っている。児童・生徒たちの健康や成績に影響はないのだろうか。安心して使えるようにするためにクリアすべき課題は何か。専門家らに聞いた。

「教育現場への導入には副作用に注意」

 「スマホ脳」著者のアンデシュ・ハンセン氏

 私が住むスウェーデンではデジタル端末が子供の生活に大きな影響を及ぼしている。11歳の98%が自分用のスマートフォンを持っており、10代が1日3~4時間スマホに使っているとの調査結果がある。英国や米国の調査でも10代がスマホやタブレットなどのデジタル端末に毎日数時間を費やしていることが判明しており、スマホ依存の課題について考える必要がある。

 懸念されるのが睡眠や精神面への影響だ。スウェーデンでは、睡眠障害で治療を受ける10代の数が2000年から8倍以上に増加した。スマホの普及が間違いなくその一因だと思う。