政界徒然草

本命の秋解散 二階氏が描く選挙戦略 「追い込まれ感」消す 内閣改造も浮上

首相官邸に入る自民党の二階俊博幹事長(中央)ら=11日午後(春名中撮影)
首相官邸に入る自民党の二階俊博幹事長(中央)ら=11日午後(春名中撮影)

 衆院議員の任期満了まで半年を切り、永田町はいよいよ衆院解散・総選挙の雰囲気が強まってきた。衆院の解散権は菅義偉(すが・よしひで)首相の専権事項とはいえ、その鍵を握るのは菅政権の“生みの親”であり、選挙の陣頭指揮を執る自民党の二階俊博幹事長だ。選挙の時期と行方を左右する新型コロナウイルスの収束が見通せない中、二階氏は衆院選を勝ち切る戦略をどう描いているのか。

 「解散というのは一寸先は分からない。今から私が『ありません』と言って、幕を張るわけにはいかない。いつあるかは分からない」。二階氏は10日の記者会見で、来月16日に会期末を迎える今国会中の衆院解散の可能性について聞かれたが、こう述べるにとどめた。

 二階氏は早期解散に否定的な考えだった。だが、解散をめぐる二階氏の発言をたどると、「選挙は明日あってもいい」「野党から内閣不信任案が出されれば即解散」など野党を刺激する強気の発言が目立つ。しかし、それは幹事長として党内を引き締めるためであり、解散に関しては現実的に考えている。少々古いが、3月2日の記者会見では次のように述べている。

 「衆院を解散する場合は、想定される諸課題はできるだけ解決して、国民の皆さんの理解を得られるような状況を作っていくことが大事だ」

 その「諸課題」とは、新型コロナにほかならない。新型コロナ対応で成果を出した上で選挙に臨むというのが二階氏の基本的な考えだ。ただ、現状は感染拡大に歯止めがかからず、政府は3度目の緊急事態宣言を発令。国民の不満が高まる中での早期解散は与党が不利になるリスクが高いと見ている。