自由・強権

日本国内にも迫る中国の手 内モンゴルの人権侵害 日本も対応を

在日中国大使館付近で内モンゴル自治区での迫害行為を非難する出身者ら=9日午前、東京都港区(奥原慎平撮影)
在日中国大使館付近で内モンゴル自治区での迫害行為を非難する出身者ら=9日午前、東京都港区(奥原慎平撮影)

 中国当局が内モンゴル自治区で進めるモンゴル族の言語や文化の“剥奪政策”と連動するように、日本国内に住む自治区出身者への脅迫が続いている。自治区内で起きている中国による人権迫害の実態を広めないよう迫っているのだ。かつて自治区の一部は日本の支配地域で歴史的に関係が深いこともあり、自治区関係者は日本に対して中国の人権弾圧への強い対応を求めている。

 「中国共産党が南モンゴルで深刻な人権侵害を行っていることを日本の皆さんにも伝えていきたい。日本人と団結して、香港やチベット、ウイグル人と肩を並べて戦っていく」

 今月9日、内モンゴル自治区の出身者ら約30人が東京・西麻布の中国大使館周辺でデモ活動を行い、参加者の1人はこう訴えた。主催団体は自治区の民族学校でのモンゴル語による授業の復活、自治区への漢人の移民政策の停止などを求める声明文を大使館に投函(とうかん)した。

 約2500万人が暮らす自治区では「文化的なジェノサイド(民族大量虐殺)」への危機が高まっている。中国政府は昨年6月、自治区内でのモンゴル語教育を廃止する政策を決定し、昨秋から小中学校で使われる教科書をモンゴル語から漢語(標準中国語)に切り替え始めた。