日本政府はこれまで、昭和52年から58年にかけて17人の日本人が北朝鮮に拉致されたと認定している。警察当局は900人近くの失踪者が拉致の可能性を排除できないとみている。
拉致を命じたのは北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記(2011年死去)だ。南北赤化統一を目指した北朝鮮は朝鮮戦争(1950~53年)で韓国に侵攻したが失敗。その後、工作員を韓国に潜入させて協力者を獲得し、社会の不安をあおって韓国政権をゆさぶる活動などにも力を入れた。
韓国当局は警戒を強め、北朝鮮工作員の摘発が相次いだため、金総書記は地理的に近く、国際的な信頼度が高い日本に目を付けた。