不自由展再開に批判殺到 燃やされた昭和天皇の肖像は「ビジュアル化」なのか

「あいちトリエンナーレ2019」 再開された「表現の不自由展・その後」が開催される愛知芸術文化センター前で座り込みを行う名古屋市の河村たかし市長(左手前)=8日午後、名古屋市東区(鳥越瑞絵撮影)
「あいちトリエンナーレ2019」 再開された「表現の不自由展・その後」が開催される愛知芸術文化センター前で座り込みを行う名古屋市の河村たかし市長(左手前)=8日午後、名古屋市東区(鳥越瑞絵撮影)

 開幕3日で中止に追い込まれた国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が、賛否の議論が激しさを増す中で再開された。愛知県などには連日100件以上の抗議電話が殺到。特に昭和天皇の肖像を燃やすような動画の展示に批判が相次いだ。だが、極めて重要な問題でありながら、ほとんど論じられていないことがある。燃やされたのは昭和天皇の、どんな肖像だったのか-。(社会部編集委員 川瀬弘至)

ヘアヌードとコラージュ

 「(昭和天皇の肖像を燃やすような)映像は20分の全体を鑑賞しない限り作家の意図を理解できない作品である」「(しかし)SNSで流通した『昭和天皇』の肖像画を燃やす場面だけを見た人が問題視し、天皇侮辱を目的とする作品と誤解し激しく批判した」

 愛知県が設置した「あいちトリエンナーレのあり方検証委員会」が9月25日に公表した、不自由展の中止問題をめぐる中間報告の一部である。検証委は動画について、作者である大浦信行氏の主張を受け入れ、「戦前の日本国の象徴としての人々の心の中の天皇をビジュアル化したもの」と結論づけた。

 だが、この見解には大きな疑問が残る。動画が「人々の心の中の天皇」といえるかどうかだ。なぜなら、動画で燃やされた昭和天皇の肖像は、女性のヘアヌードなどと重ね合わせたコラージュ作品だったからだ。

 作品のタイトルは「遠近を抱えて」。昭和天皇の写真とヘアヌード、入れ墨のお尻、頭蓋骨、解剖図などをコラージュした14点の版画で、うち10点が昭和61年、富山県立近代美術館の企画展で展示された。しかし県議会などで「不快」と批判され、美術館は作品を売却、図録を焼却処分した。

 今回の不自由展に動画が出品された背景には、こうした経緯がある。ただ、燃やされる映像は昭和天皇の肖像部分をアップで映し出し、ほかのコラージュが分かりにくいため、肖像そのものを燃やしていると“誤解”されたのだ。

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