禁教令の歴史を持つ日本で、正統なカトリックの信仰形態を継承しながら、地域ごとに異なる独自の祈りを続けてきた「かくれキリシタン」。23日に来日するローマ法王も禁教下のキリシタンを称賛したことで知られるが、近年はその子孫をとりまく状況が揺らぐ。過疎化や後継者不足で信者は減少。代々受け継いできたかくれ信仰が岐路に立たされている。(桑村朋)
たたずむ十字架型の殉教碑や教会-。所々にキリシタン信仰の名残がある長崎県平戸市の生月(いきつき)島。「かくれキリシタンの島」と呼ばれるこの地の信者は、近年激減の一途をたどる。
昭和初期に島民の8割強を占めたが、今は1割以下となる300人弱。島のキリシタン史に詳しい平戸市生月町博物館・島の館の中園成生(しげお)学芸員(56)は「島の漁業も衰退した。日々のやりくりに必死で、信者らは継承を考える余裕もない」と実情を明かす。