どうする福祉 縮む日本の処方箋

第1部 就労×年金(4)路上生活「だれもがたどりうる道だ」

NPO法人が運営する低額の宿泊所で暮らす元ホームレスの無職、広田健司さん(仮名)=東京都内
NPO法人が運営する低額の宿泊所で暮らす元ホームレスの無職、広田健司さん(仮名)=東京都内

 元ホームレスの無職、広田健司さん(70)=仮名=は、月約13万円の生活保護費を受けながら、NPO(特定非営利活動)法人「エス・エス・エス」(SSS)が東京都新宿区で運営する低額の宿泊所で暮らしている。

 団塊の世代(昭和22~24年生まれ)で、学生運動に参加して山形県に住む父親の怒りを買い、東京の大学を中退した。法務省入国管理局の職員や呉服メーカーの営業職など、仕事をいくつも変えた。結婚し子供を3人もうけたが、妻とは40歳のとき死別。路上生活を始めてすぐ、連絡先を登録した携帯電話を盗まれたため、独立している子供たちとは連絡をとっていない。