昭和天皇の87年

揺るがなかった君臣の絆 涙の万歳が列島にこだました

画=千葉真
画=千葉真

第212回 地方巡幸

 「しばらくは茫然として夢ではないかと思ひました。しかし夢ではありません。おそば近く陛下を拝させてゐたゞける、又親しくみことばまで賜はりましたことは未だかつてなかつたことです」

 昭和21年3月1日、昭和天皇が地方巡幸で東京・八王子の都立第四高等女学校(現南多摩高校)を訪れたとき、3年生の女学生が書いた作文だ。

 昭和天皇が全国各県を巡り、直接国民を励ましたいと考えるようになったのは、前年10月ごろとされる。21年1月にはGHQの高官も巡幸を推奨していると伝えられ、昭和天皇は侍従次長に《地方巡幸について研究をお命じになる。その際、巡幸は皇后と同列にても宜しきこと、形式は簡易とすべきことなどの思召しを示される》(昭和天皇実録35巻12頁)

 社会全体が疲弊し、治安も悪化していた時代だ。十分な警備も期待できず、政府高官らは二の足を踏んだが、昭和天皇の決意は固かった。

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