昭和天皇の87年

「天皇には、もっと恐ろしい何かがある」…中断された地方巡幸

画=千葉真
画=千葉真

第213回 民政局の陰謀

 列島に涙の万歳をこだまさせた昭和天皇の地方巡幸-。それを、苦々しく見つめていたのはGHQの民政局(GS)である。

 憲法改正問題をはじめ占領政策の中核を担っていた民政局には、社会主義的なニューディーラー(※1)が多かった。彼らは昭和天皇の地方巡幸について、こんな報告書を作成している。

 「天皇を目の前にした熱狂が、首相や最高裁長官の訪問を迎へたときのそれに較(くら)べて数等優(まさ)つてゐたことは認めなければならない。天皇は、日本人の考へでははつきりと政治の上位にある。(中略)憲法の規定によれば、彼は法的権威を持たない。彼にはそれは必要ない。といふのは、彼にはそれに優る、もつと恐ろしい何かがあるからだ」

 民政局のニューディーラーたちが、昭和天皇の権威をいかに恐れていたかが分かるだろう(※2)。

 とはいえマッカーサーが巡幸に賛同しているため、中止の指令を出すわけにはいかない。そこで民政局は、ある“事件”を利用して宮内府(※3)を揺さぶり始めた。

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