大手派遣会社でデザインの仕事をしている契約社員の樺山次郎さん=仮名(42)=は平成29年の年末、会社から基本給の引き下げを通告された。人事担当者の説明に耳を疑った。「これからはあなたにもボーナスを支給するためです」
樺山さんは毎月二十数万円の基本給を受け取っていた。会社は翌春から導入される新たな賃金制度で、正社員と同様に賞与を支給するが、年収を維持するために賞与の支給分だけ基本給を引き下げると説明した。基本給を基に計算される残業代も目減りする。
会社が賃金制度を変更したのは、「同一労働同一賃金」の導入を見越したためだ。だが、賞与を与えるために基本給を引き下げるのでは待遇改善にならない。残業代の目減りなどでむしろ月収は減ってしまう。