世界的ベストセラー史家ハラリ氏に反論 リベラル帝国主義がコロナに勝つ?  福井義高

トランプ米大統領(AP)
トランプ米大統領(AP)

 コロナウイルスの猛威を前にして、改めて思い出すのが、「平時は何も示さず、すべては非常事態に明らかになる」(Das Normale beweist nichts, die Ausnahme beweist alles)という、ドイツの法学者カール・シュミットの至言である。

 平時のグローバリズム推進はどこへやら、各国政府が自国民を守るため、国境を閉鎖し、マスクを奪いあう、国家エゴむき出しの状況となっている。

 こうした危機における国民国家回帰に、『サピエンス全史』で一躍世界的著名人となったイスラエルの史家ユヴァル・ノア・ハラリ氏が、「コロナウイルスとのたたかいにおいてリーダーシップを欠く人類」(In the Battle against Coronavirus, Humanity Lacks Leadership)と題した論考(『タイム』3月15日付)で異議を唱えている。

 ハラリ氏は「こうした伝染病(epidemics)に関して理解せねばならない最も重要なことは、どの国における伝染病の蔓延であれ、全人類を危険に陥れるということ」であって、今こそ国際協調が不可欠であり、ガードすべきは国境ではなく、「人間の世界とウイルスの領域の境界」だとする。そして、これまでリーダーシップを発揮してきた米国がその役割を果たしていないとして、「自分がいちばん」(Me First)のリーダー、すなわちドナルド・トランプ大統領を批判している。

グローバル信仰の告白に過ぎない

 確かに、ハラリ氏も主張するように、コロナウイルスに対処するうえで、国際的な情報共有は望ましい。それ以上の協力も、余裕があればやったほうがよい。しかし、共有しても減らない情報と異なり、人的物的資源には少なくとも短期的には限りがあり、自国民を優先することはやむをえない、というより、国民の信託を受けた政治家の義務であろう。

 そもそもトランプ大統領の自国第一主義は、米国以外にとっても悪い話ではない。

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