昭和天皇の87年

国際法無視の“野蛮裁判” 東条英機は一歩も引かなかった

画=千葉真
画=千葉真

第215回 東京裁判(1)

 「被告東条」-。赤ら顔の男は言った。「私はあなたに対して大将とは申しません」-

 昭和22年の年の瀬。東京・市ケ谷の旧陸軍士官学校大講堂に、世界中の耳目が集まった。前年5月3日に開廷した極東国際軍事裁判(東京裁判)で、首席検事のジョセフ・キーナンによる、東条英機への尋問が始まったのだ。

 キーナン「米国及び他の西欧諸国に対して攻撃をする言いわけの一つとして、これらの諸国があなたの大東亜共栄圏に関する計画をじやましておつたからだと主張いたしますか」

 東条「理由の遠因にはなりました。しかしながら直接の原因ではありません」

 キーナン「あなたの意図は、大東亜に新秩序を樹立するのであつたということを認めますか」

 東条「もちろん、一つの国家の理想として、大東亜建設ということを考えておりました。しかもできるだけ平和的方法をもつてやりたい、こう思つておりました」