皇位継承論議を振り返る

(上)「女系天皇」小泉政権で加速 論拠は弱く

 「このままいけば男系男子は先細りになるな」

 平成16年春、首相官邸で皇位継承に関する極秘協議を行っていた小泉純一郎首相は思わずうめいた。「小泉フィーバー」と呼ばれた人気を背景に首相の座に就いてから3年のことだ。

 上皇さまのいとこに当たる高円宮憲仁親王殿下が14年、47歳で薨去(こうきょ)した。皇位継承資格を持つ男系男子は皇太子であられた天皇陛下を含め6人に減少していた。昭和40年の秋篠宮さま以降は一人のご誕生もなく、官邸内では例外なくつないできた男系による皇位継承への危機感が日に日に高まっていた。

 小泉氏は極秘協議の場で「今は欧州も女王の時代だな」と告げた。江戸時代以来となる女性天皇、さらには前例がない女性天皇から生まれた女系天皇に道を開く皇室典範改正の論議が始まる瞬間だった。