昭和天皇の87年

国民9割が天皇支持 かくて退位論の火は消えた

画=千葉真
画=千葉真

第217回 イデオロギー対立(1)

 東条英機ら7人が死刑判決を受けた極東国際軍事裁判(東京裁判)の終盤、昭和天皇の皇位も、重大な危機をはらんでいた。開戦の責任をとって退位すべきだという声が、主にインテリ層の間で再燃しだしたからだ。

 発端は昭和23年5月、最高裁長官の三淵忠彦が週刊朝日の対談記事で、「陛下は何故に自らを責める詔勅をお出しにならなかつたか」と発言したことだった。これが海外に誤伝され、ロンドン発ロイター電が「降伏記念日たる八月十五日を期して天皇の退位が行われるであろうとの噂が東京で強まつている」と配信。内外メディアの退位是非論に火が付いた。