解読

JR福知山線脱線事故から15年 コロナ禍に思う 鉄道と利用者の関係 大阪社会部長・徳永潔

 JR発足後最悪の死者数を出した福知山線脱線事故は25日で発生から15年となる。新型コロナウイルスの感染が拡大する中、鉄道が緊急事態宣言下でも事業継続を要請される理由は「国民生活を支える重要なインフラ」であることだ。人々の移動が妨げられれば社会はたちまち機能不全に陥る現実に直面したことで、鉄道の社会的責務がより鮮明に認識されたといえる。だからこそ、JR西日本は人々を安全に運ぶインフラとして事故の教訓を改めて深く刻む必要がある。

 新型コロナウイルスの猛威は、鎮魂の祈りも吹き飛ばした。毎年欠かすことなく営まれてきた追悼慰霊式は中止され、遺族の女性は「同じ悲しみを持つ人たちと毎年祈りを共有してきたが、今回ばかりはしようがない」と話した。

 ◆異様な威圧感

 今は追悼施設「祈りの杜(もり)」となった事故現場の、あの日の記憶は今も薄らぐことはない。息せき切って現場に駆けつけた瞬間、山なりにひしゃげた鉄の塊に思わず後ずさりした。道路わきの一角には乗客の女性が座り込んでいた。表情は失われ、問いかけにわずかにうなずくだけ。女性は自力で脱出できたのだろう。だが、めちゃくちゃになった内部には助けを求める人がいるはずだ。すでに息絶えてしまった人がいるかもしれない。そう考えると怖くて車両を正視できない。

 電車は秩序の象徴とも言える。秒単位で組まれたダイヤ通り、静かにホームに滑り込み、ピタリと定位置に止まる。日本が誇る定時運行を体現する車両が形を失ったときの一種異様な威圧感は、今も脳裏に焼き付いたままだ。

 この事故車両をめぐり、昨年11月に動きがあった。

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