UFOは存在するのか 「宇宙人に一番近い日本人」の見解 

米国防総省が公開した、「謎の空中現象」とされる米海軍撮影映像の1シーン
米国防総省が公開した、「謎の空中現象」とされる米海軍撮影映像の1シーン

 UFO(未確認飛行物体)や宇宙人に対する注目度がにわかに上昇している。米国防総省がUFOかもしれないという「謎の空中現象」を撮影した映像を公開すれば、日本の河野太郎防衛相は自衛隊員がUFOに遭遇した際の手順を定めることについて初めて言及。さらに航空自衛隊は「宇宙作戦隊」と命名された部隊も創設した。われわれが地球外知的生命体に遭遇する可能性は本当にあるのか、専門家に聞いた。(小林宏之)

米国公認の“UFO”

 米国防総省が映像を公開したのは4月27日のこと。米海軍機の搭乗員が撮影したという飛行物体の映像は数年前にメディアに流出したもので、「UFOの可能性がある」と話題になっていた。

 30~75秒の短いモノクロ映像で、1本は2004年11月、2本は15年1月の撮影。物体が海上を高速飛行したり、空中で回転したりする様子を捉えている。

宇宙作戦隊に授与された隊旗=5月18日午後、東京都新宿区(萩原悠久人撮影)
宇宙作戦隊に授与された隊旗=5月18日午後、東京都新宿区(萩原悠久人撮影)

 同省は声明で「過去に流出した映像の真偽や、他の映像の有無といった臆測を排除するため公開した」と説明。問題の物体は現在も正体不明だという。

 一方、河野防衛相は4月28日の記者会見で、米国防総省による映像の公開を受けて、自衛隊員がUFOに遭遇した際の対応について「手順をしっかり定めたい」と述べた。「私はUFOの存在を信じてはいない」と前置きした上で、米側の映像公開について「米国から真意や分析を聞きたい」とも。

 また、自衛隊機のパイロットがUFOに遭遇したことは「ないと聞いている」と述べつつ、万一遭遇した際の映像の撮影や報告の段取りを検討するよう各自衛隊に求めた。

 さらに、5月18日には自衛隊初の宇宙防衛部隊「宇宙作戦隊」が編成された。こちらの“仮想敵”はUFOや宇宙人ではないものの、昨年発足した米宇宙軍との協力関係の構築準備を進めるという。

公開用としては日本最大の2メートル天体望遠鏡「なゆた」の前で語る鳴沢真也さん=兵庫県佐用町の県立大・西はりま天文台
公開用としては日本最大の2メートル天体望遠鏡「なゆた」の前で語る鳴沢真也さん=兵庫県佐用町の県立大・西はりま天文台

「見間違いがほとんど」

 日米の防衛当局が相次いで言及したUFOについて「『正体不明の飛行物体』『異星人の乗り物』のどちらの意味で使っているのか気になりますが…」と話すのは、兵庫県立大・西はりま天文台(同県佐用町)の鳴沢真也・天文科学専門員(55)だ。

 同天文台の「なゆた望遠鏡」は、公開されている天体望遠鏡としては世界最大級の口径2メートルを誇る。鳴沢さんはここを拠点に、日本における「SETI=地球外知的生命探査」の取り組みを牽引(けんいん)し、「宇宙人に一番近い日本人」と評される。