天寿を全うした「不思議な犬」 わさおに感謝

 いつしか「不思議な犬」に魅せられていた自分がいた-。不細工だけどかわいい「ブサかわ犬」として人気を集めた青森県鯵ケ沢町の秋田犬「わさお」が6月8日永眠した。推定13歳。人間では90代前半に相当するという。「わさお」支援団体代表の工藤健さん(52)は、わさおと出会ってから12年。「自分のアイデンティティーはわさおウオッチャー」と言い切り、天寿を全うした唯一無二の「友人」に感謝の思いをささげている。

元気だったころの「わさお」=平成29年12月、青森県鯵ケ沢町(福田徳行撮影)
元気だったころの「わさお」=平成29年12月、青森県鯵ケ沢町(福田徳行撮影)

 平成19年秋、同町内でイカ焼き店を営む菊谷節子さん(29年死去)に保護されたわさお。発見当初、毛がボロボロで懐かなかったが、翌年、旅ブログで紹介されたことがきっかけで脚光を浴びるように。テレビのバラエティー番組やマスコミの取材などが殺到、さらには映画の主人公にもなるなど一躍、全国区の人気犬としてブレークした。以来、工藤さんは、各地で引っ張りだことなった菊谷さんとわさお“親子”の県内外での活動をサポートしてきた。

 多くの人たちに愛され、親しまれてきたわさおを身近で見てきた者として、不思議な犬と感じている。

元気だったころの「わさお」=平成29年12月、青森県鯵ケ沢町(福田徳行撮影)
元気だったころの「わさお」=平成29年12月、青森県鯵ケ沢町(福田徳行撮影)

「見た来た人に何か芸をするわけでもなく、何かを成し遂げたわけでもなく、ただ犬小屋で暮らしているだけ。なのに、引き付けられた人たちが触発され、周りでいろんなことが起きている。まさに“わさお現象”の渦に巻き込まれている気がします」。

 全国を舞台にした活動だけでなく、地元の特別住民に登録され、町の特別観光大使にも就任するなど、わさおを取り巻く環境は日に日にヒートアップ。わさおファンだという青森市の男性会社員(41)は「決して有名な犬という固定観念で見てはいない。一度、捨てられたのに元気に悠々自適に暮らしている姿を見ると、自然と応援したくなる。人間と同じです」と“わさお物語”に引き付けられた魅力を語る。

 ただ、わさおも菊谷さんが体調を崩して25年に入院した時は自慢の毛が抜ける事態に。「まるで仙人のようにあごひげだけになってしまったわさおを見てびっくりした」と振り返る。だが、菊谷さんが退院すると主の帰りを待っていたかのように元気を取り戻した。親子の絆は固かった。

飼い主だった菊谷節子さんとよく散歩した日本海をじっと見つめる「わさお」=平成29年12月、青森県鯵ケ沢町(福田徳行撮影)
飼い主だった菊谷節子さんとよく散歩した日本海をじっと見つめる「わさお」=平成29年12月、青森県鯵ケ沢町(福田徳行撮影)

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