100年前「マスク」の先人は菊池寛 万全対策が小説に

 約100年前に世界的に流行したインフルエンザ「スペイン風邪」に感染するのを恐れ、マスクが手放せなかった文豪がいた。菊池寛(1888~1948年)だ。大正時代、対策を徹底する様子などを短編小説「マスク」につづった。出身地の高松市にある菊池寛記念館は、新型コロナウイルス感染症が拡大する現在と当時を比べてもらおうと特別展とホームページで作品を紹介している。

マスクを着けた菊池寛の像=7月8日、高松市
マスクを着けた菊池寛の像=7月8日、高松市

自身がモデルの主人公

 外出を控える、朝夕うがいをする、やむを得ず外出する際はマスクをする-。 新型コロナ対策のようだが、いずれも大正9(1920)年に雑誌『改造』に発表された菊池寛の短編小説「マスク」に登場する描写。世界で猛威を振るったスペイン風邪を意味する「流行性感冒」を予防しようと主人公が取った行動だ。「掲載時は『私の生活から』という副題がついていた。主人公のモデルは菊池寛本人」と同館学芸員の福江成美さんは解説する。

 国内では計3回、スペイン風邪の流行期があり、7(1918)年から10(1921)年にかけて約2400万人が感染、約38万人が死亡した。菊池寛の友人の芥川龍之介も罹患(りかん)し、衰弱のあまり、辞世の句をしたためたほどだった。

死者数に「一喜一憂」

 「マスク」で描かれるのは、流行するスペイン風邪におびえ切った主人公の姿だ。

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