昭和天皇の87年

最終回 特攻隊が教えてくれた君民の絆

画=井田智康
画=井田智康

第246回 エピローグ

 沖縄伝統の赤瓦の屋根の下、黒御影石の献花台に、薄桃色の生花が供えられている。その先にはコバルトブルーの海が広がり、浅瀬に乗り上げた波が白く輝いている。

 令和2年7月、沖縄県糸満市の摩文仁の丘にある国立戦没者墓苑。沖縄で戦没した軍民18万余柱の遺骨が納められた墓苑は、いつもなら観光客や修学旅行生らの参拝が絶えない場所だ。しかし今年は新型コロナウイルス禍で観光客らが激減。誰もいない真夏の墓苑に、虫の声と小鳥のさえずりが響いている。

 2カ月ほど前、筆者は産経新聞那覇支局勤務を命ぜられて着任した。ここ沖縄は、昭和天皇が最後の最後まで訪れたいと望みながら、ついに果たせなかった地である。その沖縄で本稿を書いていることに、深い感慨を覚えずにはいられない。

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 先の大戦を、日本が悪だと一方的に決めつけてしまえば、昭和という時代は理解できないだろう。連載を終えるにあたり、改めて胸に去来するのは、先人たちへの感謝だ。昭和天皇とともに生きた世代の日本人は、実に偉大だった。世界最強国と戦ってひるまず、戦後はどん底から奇跡の復興を遂げた。その犠牲と努力の上に現在の平和があるのだと、強く思う。

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