孤高の国母

(34)病床の父との対面 皇太子妃は憂心を押し隠した

九条道孝(宮内庁三の丸尚蔵館所蔵)
九条道孝(宮内庁三の丸尚蔵館所蔵)

 父、九条道孝の病状が悪化したとの電報を受け、節子妃を乗せた汽車が上野駅に着いたのは、明治33年8月25日午後2時10分である。

 ホームで、東宮主事の中田直慈が待っていた。

 「道孝公は本日未明、午前3時すぎに発作を起こされましたが、今は落着き、小康を保たれています」

 節子妃は、ふうっと息を吐いた。

 いったん青山御所に帰ると、嘉仁皇太子の生母、柳原愛子がおり、明治天皇と美子皇后(昭憲皇太后)からの見舞いの言葉を伝えた。