「中国共産党は欺瞞」英亡命のピアニスト、コロナで非業の死

中国・北京の会場でピアノを弾くフー・ツォン氏=2012年
中国・北京の会場でピアノを弾くフー・ツォン氏=2012年

 【ロンドン=板東和正】ロンドンを拠点に活躍した中国出身のピアニスト、フー・ツォン(中国名・傅聡)氏が昨年12月末、新型コロナウイルス感染症により86歳でこの世を去った。フー氏は中国共産党政権による弾圧から逃れるため20代で英国に亡命し、毛沢東が発動した政治闘争「文化大革命」では両親が自殺に追い込まれた。生前、共産党政権を「嘘と巨大な欺瞞(ぎまん)に満ちている」と痛烈に批判し、中国の民主化を願い続けていたという。

弾圧逃れるも…文革で両親が自殺

 1934年に上海で生まれたフー氏は上海交響楽団の指揮者からピアノを学び、19歳でポーランドのワルシャワに留学。55年にショパン国際ピアノコンクールでアジア人初の上位入賞を果たした。ショパン弾きとして評価が高く、ノーベル賞作家のヘルマン・ヘッセは「ショパン作品の唯一の演奏家」と絶賛したとされる。