
旧日本海軍連合艦隊が昭和2(1927)年に行った夜間無灯火演習で多重衝突事故に遭い、沈没した駆逐艦「蕨(わらび)」の船体が昨年夏、鳥取県赤碕沖=島根半島・美保関(みほのせき)沖=の水深約100メートルの日本海で93年ぶりに確認された。119人が犠牲になったこの事故は「美保関沖事件」ともいわれ、過酷な訓練過程で発生したことなどから、明治35年に陸軍将兵199人が犠牲となった八甲田山雪中行軍遭難事故になぞらえて「海の八甲田山」とも呼ばれる。船体発見を受け、同事件慰霊の会は船体の近くに「水中記念碑」(慰霊碑)を設置する構想を進めている。
「グンカン」と呼ばれる魚礁
美保関灯台(松江市)から北東約33キロの日本海。地元の漁師が「グンカン(軍艦)」「ワラビ」と呼ぶ漁礁があり、好漁場として語り継がれてきた。沈没軍艦との関係をうかがわせるその海域で、水中ドローンを使った探索が行われたのは昨年9月14、15日。九州大学浅海底フロンティア研究センターなどのチームが水深約100メートルの海底に水中ドローンを沈めた。
「何か見えた、見えた、見えた」