孤高の国母

(62)側近が明かす大正時代の天皇・皇后の1日 

明治宮殿の表御座所(宮内庁提供)
明治宮殿の表御座所(宮内庁提供)

 明治宮殿-。明治21年10月に落成し、昭和20年5月の空襲で焼失するまで、明治-大正-昭和の3代天皇が皇后とともに暮らした、皇室の中心施設である。

 外観は和風、内装は洋風を加味した和洋折衷で、床面積5855坪。公的活動を行う「表宮殿」と、住居部分の「奥宮殿」があり、廊下でつながっていた。

 ここに、大正天皇と貞明皇后が移居したのは大正2年7月25日。新生活の1日を、女官や侍従らの回想をもとに再現してみると--

 【午前6時半】皇居の朝は、宿直の女官の甲高い一声で始まる。「おひーる」。天皇陛下がお目覚め-という合図だ。洗顔と朝拝の後に朝食。大正天皇は食堂で、貞明皇后は自室で身支度をしながらとる。