孤高の国母

(69)列島にとどろく万歳 みよ、これが国民の尊皇心だ

報道陣に公開された京都御所の紫宸殿。手前が高御座=平成23年、京都市上京区(安元雄太撮影)
報道陣に公開された京都御所の紫宸殿。手前が高御座=平成23年、京都市上京区(安元雄太撮影)

 平成28年7月から通年公開されている京都御所で、外国人観光客らを含む参観者がはっと息をのむ場所がある。戦前まで即位の礼が行われていた紫宸殿(ししんでん)の中にある、高御座(たかみくら)と御帳台(みちょうだい)が見える場所だ。

 荘厳華麗な屋形の御座-。8本の柱が支える高御座の屋根には金色の鳳凰(ほうおう)が、ひとまわり小さい御帳台には鸞鳥(らんちょう=伝説の神鳥)が飾られ、この世でここに座れるのは一人しかいないと告げている。

 昭和3年の即位の礼では、高御座に昭和天皇、御帳台に香淳皇后が着座した。平成2年の即位の礼では陸上自衛隊第1ヘリ団が東京に空輸し、皇居に運ばれて上皇さま、上皇后さまが使われた。令和元年の式典でも皇居に陸送され、天皇、皇后両陛下が上られた。

 古くは日本書紀にもその名がみられる高御座だが、現存するのは大正4年11月の即位の礼にあわせ、古制に則して造られたものだ(※1)。はじめて着座したのは、むろん大正天皇である。

 だが、隣の御帳台に貞明皇后が座ることはなかった。

 妊娠していたからである。