
都会に生息する野生生物。日頃、「物言わぬ隣人」は、われわれ人間のことを内心でどう思っているのか。そう知りたくなったことはあるだろう。人がいることが、彼らの行動や頭の働きに影響するのかどうか。そんな疑問を解き明かすため、北海道大の研究チームは、都市公園のエゾリスにパズルを解かせ、その謎解き能力に、人が与える影響を調査した。すると、人は敵ではないものの、人間嫌いであることを示すデータが出てきたという。(黒田悠希)
パズルの謎解きに挑戦
北海道帯広市には数多くのエゾリスが生息し、都市部の公園にもすみかを持っている。都市部にはエゾリスの好むチョウセンゴヨウというマツの仲間やオニグルミといった樹木が生えており、食料を得る上では良い条件だ。彼らにとって、カラスや猛禽(もうきん)類と違い、人は捕食者としての天敵ではない。
北海道大の小泉逸郎准教授(動物生態学)らの研究チームは、これまで野生生物と人との適切な距離などに問題意識を持って研究を実施してきた。