孤高の国母

(76)秘匿された天皇発病 「御歩行は安定ならず…」

皇居・宮中三殿。中央に3つならぶ建物の中央が賢所
皇居・宮中三殿。中央に3つならぶ建物の中央が賢所

 大正7年9月16日、貞明皇后付の女官は日記に書いた。

 「(皇后の)御内々思召あらせられ候に付今日より一七ケ日御祈念御願被遊(あそばされ) 賢所へ御鈴上(たてまつ)る 尚(なお)月々一日より七日間当分御鈴上る」

 三種の神器のひとつ、八咫鏡(やたのかがみ)を祀る賢所は、皇居で最も神聖な場所だ。祈願をこめる際、玉串をささげて平伏し、その間、掌典職が鳴らす鈴の音が厳かに響きわたる(※1)。

 ただし、神嘗祭(かんなめさい)や結婚の儀など重要な祭祀・儀式をのぞき、個々の問題で祈願をこめることはほとんどない。