大正7年の秋、皇居吹上御苑の馬場-。大正天皇が、10月末に挙行される天長節観兵式に向けて乗馬の練習をしている。
その姿を遠くから、貞明皇后が見つめていた。穏やかに晴れた昼下がり。乾いた秋風が時おり頬をなでる。
「お好きなのはお馬ですね」と女官が語るように、大正天皇は皇太子時代から、乗馬を楽しむことが多かった。颯爽(さっそう)と人馬一体、風を切って進む姿は、それが夫でなくても凛々(りり)しく、頼もしく見えたことだろう。
大正7年の秋、皇居吹上御苑の馬場-。大正天皇が、10月末に挙行される天長節観兵式に向けて乗馬の練習をしている。
その姿を遠くから、貞明皇后が見つめていた。穏やかに晴れた昼下がり。乾いた秋風が時おり頬をなでる。
「お好きなのはお馬ですね」と女官が語るように、大正天皇は皇太子時代から、乗馬を楽しむことが多かった。颯爽(さっそう)と人馬一体、風を切って進む姿は、それが夫でなくても凛々(りり)しく、頼もしく見えたことだろう。