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第2部 子供たちへ(1)クーベルタンの遺稿 五輪に託した「心の教育」

  近代五輪の礎を築いたフランスの教育者、ピエール・ド・クーベルタンの理想は明快だ。

 「スポーツで若者の心を育み、平和な世界を実現する」。

 思いが結実したギリシャの第1回大会から120年あまり。2020年東京五輪は子供たちに何を残すのか。

 名門貴族の家系に生まれたクーベルタン(1863~1937年)は、「教育者」と紹介されることが多いが、教壇に立って教えていたわけではなく、教育制度の内容を究明、改革する教育思想家だった。彼の理想の原点を探るため、フランスで幼少期から暮らした16世紀の館を訪ねた。

 北西部ノルマンディー地方ミルビルの森にその男爵家の居城がある。クーベルタンの姉のひ孫で現当主、ジャック・ドナバセル(73)が彼の書斎だった部屋に案内してくれた。

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