灯す

第3部 試練を越えて(1)気候・感染症の脅威 21世紀五輪を阻むリスク

 いつの時代も、国難は前触れなしに訪れる。

 人心と国土が傷つく自然災害だけではない。

 気候変動や感染症は、人々の営みにとっては看過できない危機だ。

 五輪は地球規模で人とモノが移動する祭典であり、東京五輪も「日本の安全」だけでは語れなくなった。

 「今現在、五輪が開けるかといったら、世界はそんな状態ではないと思う」

 3月23日の参院予算委員会。首相の安倍晋三は、切るように発した言葉に事態の深刻さをにじませた。

 中国発の新型コロナウイルスは世界的な流行が加速し、今夏の五輪開催は望めない。安倍と国際オリンピック委員会(IOC)会長のトーマス・バッハが、1年程度の延期で合意したのは翌24日だった。

 よりによって東京五輪が-。日本のスポーツ界には被害感情を訴える声も少なくない。だが、ウイルス研究で最先端を行く長崎大学熱帯医学研究所所長の森田公一は指摘する。

 「過去の事実として、数年おきに未知、既知の感染症が国際的な問題になってきた。東京がレアケースに当たったわけではない」

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