灯す

第3部 試練を越えて(5)コロナ禍は「戦争」 「平時」あっての祭典

 五輪が戦禍で中止となった例はいくつもある。新型コロナウイルスとの戦いも「戦争」にたとえられ、今夏の東京五輪が延期を余儀なくされた。世界的なコロナ禍が残したものは、五輪は「平時の祭典」という教訓にほかならない。

 「これは戦争だ」

 フランスで外出禁止令が出された3月半ば以降、マクロン大統領は折に触れ、熱した口調で国民を鼓舞してきた。最も感染者の多い米国では、トランプ大統領が物資増産を促す国防生産法を発動するなど「戦時」をほうふつさせる。今回のコロナ禍が「第二次大戦後、比類のない有事」といわれるゆえんだ。

 この時期、日本では五輪開催の可否をめぐり議論が続いていた。「戦時」への感度が鈍かったのは日本オリンピック委員会(JOC)だ。会長の山下泰裕(62)が「開催に向けて力を尽くしていこうというとき。一個人の発言であっても極めて残念だ」と不快感を示したのは3月20日のこと。理事の一人が一部メディアで唱えた延期論について、報道陣から問われたときだった。

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