平成の終わりに

古代の息吹残す国柄を保て 杏林大学名誉教授・田久保忠衛

新年一般参賀に臨まれた天皇陛下(右)と皇太子さま=1月2日午前、皇居(佐藤徳昭撮影)
新年一般参賀に臨まれた天皇陛下(右)と皇太子さま=1月2日午前、皇居(佐藤徳昭撮影)

 令和の元号の下に新天皇陛下をいただく日本は、古代の息吹を残す国柄を静かに保つべきだと思う。現代用語で言うならばアイデンティティーを内外に向かって明らかにする。同時に国際情勢の大局を把握する能力に欠けていたからこそ、先の大戦で失敗したとの認識を改めて新たにしたい。いずれの努力を怠っても日本は日本でなくなってしまう。

 国体といってもいまの日本では通じにくいと考えられるので、国柄と表現するが、その国柄は敗戦によって崩壊する寸前のところまで来ていたのだ。時事通信社の外信部に勤務していたときに初代社長で戦時中の国策通信社「同盟通信」海外局長だった長谷川才次氏がデスクに来て、終戦秘話をしばしば語っていた。