歴史に消えたうた 唱歌、童謡の真実

(5)切り刻まれた「海の子」

終戦直後の「初等科音楽四」に掲載された『われは海の子』は7番の歌詞が墨塗りとなっている(玉川大学教育博物館所蔵)
終戦直後の「初等科音楽四」に掲載された『われは海の子』は7番の歌詞が墨塗りとなっている(玉川大学教育博物館所蔵)

 終戦後、音楽の教科書が連合国軍総司令部(GHQ)の方針に沿って、軍国主義や皇国史観などに関わる歌などを排除して使用されたことは、前回(5月22日付)書いた。

 ~われは海の子白なみの…で始まる『われ(我)は海の子』(文部省唱歌)は、このハードルを越えるのに、本来7番まであった歌詞を→6番→3番までと段階的に“切り刻まれ”た上で現在まで生き残っている特異なケースだ。