偏西風

文化発信地1200年の歴史 不変と破天荒息づく京都

 いま、京都のさまざまな現場で、伝統と前衛の融合による新たな文化が発信されている。発祥から四百年という歴史ある劇場、南座(京都市東山区)ではこの夏、歌舞伎俳優、中村獅童さんと、若者に人気のバーチャル・シンガー、初音ミクさんが共演した「超歌舞伎」が上演され、普段、歌舞伎を見ないような若者が大勢押し寄せた。人気漫画を原作にした新作歌舞伎「NARUTO-ナルト-」には外国人の姿が目立った。歌舞伎の歴史に新たな一ページを開く舞台。歴史ある都市から21世紀の文化の潮流が起ころうとしている。

 ◆発祥の地で「超」歌舞伎

 Tシャツ姿の若者が振るサイリウム(蛍光色のペンライト)の光に、「萬屋(よろずや)!」「初音屋!」と、獅童さんとミクさんの屋号を呼ぶ掛け声が怒濤(どとう)のように響く。「もっと盛り上がろうぜ!」。隈取(くまどり)も勇壮な獅童さんが客席をあおると、総立ちの観客から歓声がわき上がった。まるでロックのコンサートだ。