偏西風

黒マスクを考える スポーツの聖域を守るには 大阪本社運動部長・北川信行

 テニスの全米オープンで、警官による暴行などで命を落とした7人の黒人被害者の名前が記された黒いマスクをつけ、2年ぶり2度目の優勝を果たした大坂なおみ選手に対し、米国を中心に「勇気ある行動」と称賛の声が巻き起こっている。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)上では「賛意を示さないのは、差別の容認だ」との過激な意見もある。しかし、大坂選手の黒いマスクを手放しでたたえることに、私は違和感を覚える。スポーツの神聖さや純粋さを損ねる恐れがあると思うからだ。

 まず、はっきりさせておかなければならないのは、大坂選手の考えや信条を非難しているわけではないということ。アスリートが社会的な問題について自らの意見を明らかにすること自体は、一般人と同じように扱われるべきで、特別な制約を受けるものではない。「伝えたかったのは、より疑問に思うということ。みんなが議論を始めてくれたらいい」との大坂選手の思いは尊重されるべきだ。