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安倍首相の対中外交への批判 古森義久

会談を前に握手する安倍首相(左)と中国の習近平国家主席=10月26日、北京の釣魚台迎賓館(代表撮影・共同)
会談を前に握手する安倍首相(左)と中国の習近平国家主席=10月26日、北京の釣魚台迎賓館(代表撮影・共同)

 「日本の安倍晋三首相は米国が中国の無法な膨張を抑えようと対決の姿勢を強めたときに中国に友好を求め、日米同盟やトランプ大統領を害すことになる」

 トランプ政権にも近い外交専門の識者からこんな厳しい非難が表明された。しかも安倍対中外交が日本自体にも被害をもたらし、失敗するとの予測だった。

 この非難は米国の政治外交雑誌「ナショナル・インタレスト」の10月末発刊の最新号に載った「日本の中国接近はなぜ失敗なのか」と題された論文だった。

 筆者は二代目ブッシュ政権の国務省で北朝鮮人権問題を担当し、トランプ政権でも国務省の政権引き継ぎ班の要員だったクリスチアン・フィトン氏である。アジア問題にも詳しい政治外交の専門家で2013年に出た「スマート・パワー」という書の著者でもある。現在はワシントンの研究機関「ナショナル・インタレスト・センター」の上級研究員を務める。