G20インタビュー

(4)「日本は米中の顔立て 仲介を」 熊谷亮丸・大和総研常務・チーフエコノミスト

大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミスト
大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミスト

 20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)に合わせて開催が見込まれる米中首脳会談で、貿易摩擦の協議が大きな山場を迎える。日本が米中を仲介し両者の顔を立てた形で振り上げた拳を降ろさせるべきだ。安倍晋三首相がイランの最高指導者ハメネイ師と会談したように、地球儀を俯瞰(ふかん)したバランサーとしての役割を果たすことが望ましい。

 米中摩擦は恐らく今秋までに表面的な妥結をみるだろう。トランプ米大統領の目的は来年の大統領選で再選することであり、秋を過ぎると経済・株価の悪化が大きくなり支持率にも影響する。中国も政治的妥協が難しい6月4日の天安門事件30周年と10月1日の建国70周年の谷間である今は譲歩をしやすい時期にある。

 交渉全体としては米国が攻め、中国が守る構図だ。経済規模で米国は中国の1・6倍あり制裁に対する体力がある。中国は経済に占める製造業の比重や対米輸出の比率が大きく関税で制裁を受ける打撃が大きい。